倉岡医院

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健康増進外来

HEALTH PROMOTION

HEALTH PROMOTION健康増進外来
(ダイエット外来)

肥満を有する方に今後起こりうる健康障害を予防するため、または肥満症メタボリックシンドロームの治療を行うために立ち上げた外来です。「肥満」、「肥満症」、「メタボリックシンドローム」は似ているようで若干異なります。

肥満とは

脂肪組織に脂肪が過剰に沈着した状態で体格指数BMI≧25のもの

  • [BMI=体重÷身長×身長(m)] 例:身長160cm/64kg、170cm/72kg
肥満症とは

「肥満」の状態に、肥満によっておこる健康障害を合併したもの

健康障害
高血糖(糖尿病)、高血圧、脂質異常、脂肪肝、月経異常、睡眠時無呼吸など
メタボリックシンドロームとは

内臓脂肪蓄積(腹囲 男≧85cm、女≧90cm)+(脂質異常、血圧高値、高血糖のうち2つを有する)肥満かどうかは関係なし

  • 脂質異常:中性脂肪150mg/dl以上、HDL-C 40以下
  • 血圧高値:収縮期130mmHg、拡張期85mmHg以上
  • 高血糖:空腹時110mg/dl以上

これらの病態に含まれる糖尿病、高血圧、高脂血症などは一般的に「生活習慣病」と言われることがあります。その先にある心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な病気の前段階です。これらの病気はご存知の通り、麻痺などの重い後遺症を残すことや、死に至ることもあり、治療段階において肉体的、精神的、経済的にも非常に大きな負担がかかります。このため「肥満」、「肥満症」、「メタボリックシンドローム」といった前段階において予防治療、すなわちダイエットを行う意義は非常に大きいといえます。

この外来では、肥満症、いわゆる内臓脂肪蓄積によって起きている健康障害に対して、医師の立場から食事療法、内服療法などを用いたダイエットを医療的な側面からサポートさせていただきます。すでに糖尿病、高血圧症、高脂血症等の内服加療中で肥満を伴う方、検診でメタボリックシンドロームを疑われた方、上記の肥満、肥満症の定義に当てはまる方はぜひ一度ご相談ください。

外来だけではなく、集中的にダイエットするための短期入院も行っておりますので、詳細はご相談ください。

健康増進外来の対象者

  • 肥満症の方
  • メタボリックシンドロームの方
  • 肥満の方(最近体重が増えた、体形が気になる等も含む)

FLOW診療の流れ

1初診時
初診時に診察、問診表を用いた生活習慣の把握(食生活、運動習慣、仕事の状況など)、精密体組成計を用いた体内評価を行います。また、採血検査により高脂血症、糖尿病などの疾患の有無を確認し、初期評価を行います。
2初期評価後
初期評価後に目標を設定します。食事療法、行動療法、運動療法、薬物療法等を組み合わせて、各自の生活スタイル、病態に合わせた治療計画を作成します。すでに高血圧、糖尿病などの疾患を有している方は、併せて治療を開始します。
3経過診察
定期的に診察、採血、体組成評価を行うことで、経過観察を行っていきます。
In body 270(精密体組成計)
In body 270(精密体組成計)

体脂肪率、筋肉量(体幹、四肢各々)、水分量、基礎代謝量などを精密に測定することができます。

基本的にこの外来は、「短期ダイエット目的入院」、「一部の薬物療法」、「内視鏡治療」以外は保険診療の範囲内で行いますので特別な費用等は発生いたしません。

食事療法、行動療法、運動療法

基本的にこれらの療法が、ダイエットの中心となります。初期評価の結果に応じて、1日摂取カロリー、運動習慣のアドバイス等を行います。また肥満に見られる食事行動の修正(大食い、早食い、間食が多いなど)、減量を意識していける行動の指導を行います。しかし、無理な食事制限、過度の運動などもダイエットが長続きしない原因となりますし、働き盛りの世代の方は中々規則正しい食事、運動する時間の確保などが困難です。それぞれの生活スタイルに合った無理のない計画をともに考えながら作成していきます。
運動療法に関しては、運動習慣の無い方、高齢者の方でも安心して行える運動療法室を設けました。本気のカラダ作りを目指す方も可能な器具をそろえております。

薬物療法

薬物療法は医療機関でのみ可能なダイエット療法です。治療の基本は食事療法、運動療法となりますので、薬を飲んだら必ず痩せるということではありません。食事運動療法で効果不十分な場合は、脂肪燃焼効果のある漢方薬等の併用を行います。また運動療法における脂肪燃焼効率を上昇する、減量中の筋肉量を維持するサプリメントなどもございます。希望される方には治療介入時に説明いたします。(当院では販売しておりません。)その他減量に効果があるといわれている医薬品もございますので詳細はご相談ください。各種治療で減量効果を認めない場合に、中枢神経に作用する食欲抑制剤もあります。これは高度肥満(BMI35以上)を認める方のみに保険適応があります。

主な薬剤
  • 食欲抑制剤:BMI35以上の方は保険適応可
  • 漢方薬
  • 脂肪吸収抑制剤
  • その他・ご相談ください

内視鏡的治療[内視鏡的胃内バルーン留置術]

胃の中に内視鏡確認下でバルーンを留置し、胃の容量を物理的に減少させることで食事量を抑える検査です。資格を有した医師のみ可能な治療となります。胃内にシリコン製のバルーンを留置し、内部を生理食塩水500ml程度で満たし、胃内にそのまま6ヵ月間留置する治療です。平均で10~12㎏程度の減量が可能とされていますが、日本での治療適応は限られており、以下の通りとなります。

適応

  • 肥満によっておこる健康障害を有しており、6ヵ月以上の内科治療でも効果的な減量の維持が困難であり、BMI≧35の20~60歳の方で、内視鏡治療の有効性が予測できる方。
  • 最低6か月間の経過観察が可能な方。(6ヵ月後に抜去するため)
  • 上部消化管内に異常所見(胃切除後、胃潰瘍、胃がんなど)がない方。
  • 重度の心機能障害、出血傾向、妊娠中、アルコール又は薬物依存などは除外。
  • 本手技の実施について同意が得られた方。
治療の流れ
  • まず胃内の病変がないことを確認します。(導入前に胃カメラを施行します。)
  • 治療当日に内視鏡的に胃内へバルーンを留置します。手技は30分程度で終了します。有効性、安全性が確立している胃内バルーンはOrbera™systemのみとされており、当院でも同バルーンを用いて治療を行います。
  • 当日バルーンを留置したのちに、早期に嘔気、不快感を認めるために、1-3泊の入院を勧めております。
  • 月に1回、エコー、レントゲンでバルーンのサイズ、位置を確認。
  • 6ヵ月間留置した後に、バルーンを内視鏡で抜去します。
    ※胃内バルーンが経過中に破れた場合には、バルーン内に色素を入れているため、尿が通常より青くなります。気が付いた場合は速やかにご連絡ください。

効果

バルーン抜去時に平均12㎏の減量

過剰体重減少率 32.1%
※(術前体重-術後体重)/(術前体重-BMI25体重)×100

偶発症

早期抜去 4.2%(バルーンによる嘔気、不快感のため)

胃穿孔 0.2%

消化管閉塞 0.8%

※効果、偶発症は、15論文をまとめた計3608症例のデータより抜粋(Imaz I, et al. Safety and effectiveness of the intragastric balloon for obesity. A meta-analysis. Obes Surg 2008;18:841-6.)

費用

この治療は日本肥満治療学会で肥満治療としてのコンセンサスが得られている治療ですが、 保険収載されておらず、全額自費診療となります。バルーン及びその他の備品が非常に高価で、海外より輸送品となるため、費用は入院、内服薬含め、約50万円となります。

ご希望の方は外来で詳細を説明させていただきます。